人の道は、自身によるのでなく、歩く人が、その歩みを自分で決めることができない

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私の好きな私の部屋

生きているといろんなことが望むにも望まざるにもあり、健康でいることも、あしたまた働ける体でいることも、人を愛したり愛されたりすることも、すべて誰かが決めた気まぐれの上に成り立っている。病は全ての人に平等に降り掛かかり、ただの運でしかない。人間が選択したことは決してその人の実力ではない。全部ただのありきたりな不幸と幸福だ。だから明日不治の病になることもあるし、明日仕事を失うこともあるし、明日自ら線路に飛び込むかもしれない、明日誰かに裏切られるかもしれないし、明日本当に些細な不注意で人を轢き殺して多額の賠償金を背負うこともある。明日見知らぬ人に見知らぬ罪で殺されて、それがあなたの夫が殺されて、あなたはひとりで子供を抱えて生きていかなくてはならなかったりする。そんなことはないだろうとあなたは思うだろう、でもあなたの子供がいじめられてあなたの子供があなたを憎むかもしれない、全ての人が、全ての命のつながりが、なんの苦しみもなんの事故もなく穏やかに終わることはない。全ての人は老衰で死なない。全ての人は苦しむことなく死んだりしない。

好きな映画がある。インファナルアフェアという映画だ。「生きていくことが1番の地獄」ということが描かれる映画だ。綺麗にかっこよく楽しい中で死ねた方がいい。だけど、生きることはそんなことではない。生きていくことが1番な地獄だ。

だからどんなに幸福でも、恐ろしい。目の前で笑う人が明日も笑っているとは限らない。だからこそいま生きなくてはいけない。

生まれなければなんの苦しみも喜びも味わわずに済んだというのに。私は幸福である、私は幸福であるからこそそう思う。

また来年も、わたしと、わたしが好きなごく一握りの、両手で足りる程度の人間たちだけは、とんでもない不幸に合わずに、わたしの好きな人達だけは幸福で居続けることができますように。

我らの日用の糧を今日も与えたまえ。我らに罪を犯す者を我らが許すごとく、我らの罪をも許したまえ。我らを試みにあわせず、悪より救い出したまえ。